2項定理の応用?
問題
2001個の自然数1、2、3、・・・、2001の中から何個かの数を一度に選ぶとき、選んだ数の総和が奇数であるような選び方は何通りあるか。
ただし、1個も選ばないときはその総和は0であると約束する。また、2001個すべてを選んでもよい。
答え
2^2000通り
2001年日本数学オリンピック予選にて出題された問題です。天才的な閃きがなくても解ける問題だと思いましたので、紹介します。
では、解説です。
「選んだ数の総和が奇数となる」ということは、「奇数を奇数個」準備できればよいといことです。「奇数が偶数個あると偶数になる」からです。そして、偶数の数は何個であろうとどうでもよいです。
まずは簡単な偶数から行きましょう。
偶数は2,4,6,・・・2000までの1000個です。この1000個からn個選んで使う(n=0~1000)場合の数を出せばよいので、
1000C0+1000C1+1000C2+・・・+1000C1000=2^1000 :①
となります。
2項定理の(a+b)^n=Σ[r=0~n] nCr(a^n-r)*(b^r) のaとbに1を代入した形です。
続いて、奇数です。これが曲者ですね。奇数は1,3,5,・・・2001までの1001個ですので、
1001C1+1001C3+1001C5+・・・+1001C1001
ですが、このままでは難しいです。
1001C0+1001C1+1001C2+1001C3+・・・+1001C1001=2^1001 :②
1001C0+1001C2+1001C4+1001C6+・・・+1001C1000 :③
とし、②から③を除去する形でいきましょう。
ここで、2項定理を応用します。
(a+b)^2m+1=Σ[r=0~2m+1] 2m+1Cr(a^2m+1-r)*(b^r) :Ⓐ
(-a+b)^2m+1=Σ[r=0~2m+1] 2m+1Cr(-a^2m+1-r)*(b^r) :Ⓑ
Ⓐ-Ⓑの左辺は、
{(a+b)^2m+1}-{(-a+b)^2m+1}
右辺は、
2{2m+1C0(a^2m+1)*(b^0)+2m+1C2(a^2m+1-2)*(b^2)+2m+1C4(a^2m+1-4)*(b^4)+・・・2m+1C2m(a^2m+1-2m)*(b^2m)}
となります。ここで、a=1,b=1,m=500を代入すると、
(2^1001)-(0^1001)=2*(1001C0+1001C2+1001C4+・・・1001C1000) となりますので、
1001C0+1001C2+1001C4+・・・1001C1000=(2^1001)/2
つまり、③は2^1000であることがわかります。
したがって、①×(②-③)が求める答えですので、
2^1000*(2^1001-2^1000)=2^1000*2^1000=2^2000 となります。
2項定理の応用ができる良い問題ですね。と思っていましたら、天才たちは次のように解くようです。
1~2000までは適当に選んで(選んでもよいし、選ばなくてもよいのでそれぞれ2択)、2^2000通り。
ここで、2001は、適当に2000まで選んできた数の総和が「偶数だったら選択」「奇数だったら選択しない」と使い方は必ず1通りに決められる。
したがって、2^2000*1=2^2000通り。
すごくエレガントですね。これを一瞬で閃ける人は本当にすごいと思います。
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